思い出は濁流と共に流れて③ | なごちゅう。

思い出は濁流と共に流れて③

お久しブリーフ、のび太です。

いよいよクライマックス。

早速続きです。


【分かりやすい前回のあらすじ】

思い返すと甘酸っぱい、中学生の頃。

僕らは当然だが若かった。

それは肉体的な意味でもあるし、精神的にもそうだ。まぁつまり全力でアホでした。

どれくらいアホかというと、割とカジュアルに大人のおもちゃを女子部員の鞄に入れてみたり、手を使わずにオ○ニーしてうっかり友人(♂)の顔面に××(自主規制)とかそういう意味で。

そんな僕らの酸っぱい中学生日記の中でも、付箋を付けて大事に覚えておかなきゃいけない一ページがあった。


僕らの友人H君が鼻息荒く茶色い濁流に挑んでいった、あの日だ。

題すれば「真夏の一人ドキドキ濁流渡り」である。

渡るといっても船じゃない、自転車だ。この辺が中学生らしいというか、まぁつまりアホなんです。何度も言うけど。

引き止める僕とN君。

嬉々とした表情でH君を煽る○○。

それぞれの思惑渦巻く中、とうとうH君がペダルを踏み込んだのでした。

(詳しくはコチラ をどぞ。)

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僕らの心配をよそに、H君は濁流の中をフラフラしながらも進んでいきます。


流れを体で受けながら進むその姿は、現代日本に足りない男らしさそのものでした。

岸で見守る僕らはH君の男らしさを見つめるだけで、誰一人として声を出しません。


H君は危なっかしい運転でも、確実に距離を伸ばしてゆきます。


気づけばあと半分。


そしてあと数メートルという距離に。



ここまでくると、「これは渡りきれるんでは」という思いが漂い始めた、次の瞬間です。





無事に渡りきっちゃいました。




まぁ思い返すと流れなくて美味しいところは逃した訳ですけど、当時の僕らはこの偉業にえらく興奮しました。


それで○○も


○○「カッコいー」


とか、濡れた瞳でウットリする始末。

まぁそうなるのも仕方がない。今日の主役はH君だ。やれやれ童貞同盟はこれで終わりだな。オイオイN君、そんなシケた顔すんなよ、H君の新しい門出だ。もっといい顔しろよ。さぁ、腹いせにH君をボコボコにしようぜ(スマイル)。


とかまぁ、そういった感じでH君が帰ってきたら○○と××するのも確定したかな。

ビデオ、用意しとかないとな。といったなんとも穏やかな雰囲気に包まれたわけです。


僕たちは、H君が再び濁流を越えて帰ってくるのを待ちました。




ところが、H君は手を振るばかりで一向に向こう岸から帰ってくる気配がありません。

そして10分、20分たったころさすがに僕らも何か起きたんじゃないかと疑い始めたころです。



H君はそのまま自転車に乗って帰ってしまいました。


僕たち三人は、ただ呆然と立ち尽くすだけ。


○○「もう帰ろー。」


唐突に放置プレイを受けたような僕たちの中でも、○○はご立腹のようで帰ってしまいました。





次の日、僕とN君はH君に会って問いただしました。


僕「お前なんで帰ったんかっちゃ?」


N君「○○結構その気だったのに。」


H君「うん。」


なんだかH君ははっきりしない様子で、なかなか帰った理由を話しません。


僕「また川渡って帰るんが怖くなったんじゃろ?」


H君「違うっちゃ。」


N君「言えって。」


H君「…絶対言うなよ。」


僕「はよ言え。」







H君「実はなー…。う○こ漏れたんよね。





えっ。




時が、止まった。


僕とN君は「まさかー冗談だろ」みたいなことを言おうとして、H君の顔を二人して覗き込んだ。



この男の目、マジだ。



目は口ほどに物を言うとか言うけど、僕らはその目を見てその意味を理解しました。


それにしても「~よね。」とかいうフランクなフレーズの割りに、なんていうヘビーな告白なんだろうか。





聞いた話をうまくまとめるとですね。


(1) 緊張感MAXで、実は結構お腹が痛かった

(2) そんな緊張感の中、川に入っていったらお腹が冷えたせいか更にお腹が痛くなった

(3) あとちょっとで川を渡りきれるというところで、黄門様へ体内から押し寄せてくる何かを感じた

(4) それをオナラだと認識

(5) 自転車のハンドリングの拍子に、勢いよく噴射

(6) バッドエンド


といった感じだったらしいです。




そんな状態でコチラに帰るに帰ってこれず、泣く泣く帰ったそうです。


僕たちはそれを聞いて、心の中で号泣しました。

こうして武士が散っていったのかと。




ちなみに、その数日後に○○に改めて告白したものの


○○「なんか、違うかな」


とかいう不条理な理由でH君は玉砕していました。

こ、この女。お前のう○こは何色だ!バカヤロウ!





若かったあの夏の日。
僕たちは全力でアホでした。


しかしですね、アホではありますが、それなりに一生懸命もがいてたんですよね。


色んなことに必死で、思い返せば色んな恥ずかしいこともやらかしました。

でも、そんな日々が、今思い返すと結構いい味を出すんだなぁ。



そんなことを、大雨で会社の周りにできた池を自転車で颯爽と走りぬける女子高生を見ながら思った訳です。


きっとあの女子高生にもあの子なりの人生がある訳で。

その人生を今輝きながら生きてるんだなぁ。


アホなことができるのも学生まで。思いっきりアホになって、思いっきりいい青春を過ごしてほしい。

その分きっと賢くなるから。


そんな風にエールでも送りたい気分になりましたね。



頑張れ女子高生。

君の後姿の、透け透けマリンブルーカラーのブラに乾杯だ。



やっぱり、僕の場合は今でも全力でアホでした。