カタギじゃないよ、タカギだよ。 | なごちゅう。

カタギじゃないよ、タカギだよ。

表裏一体という言葉。

言いえて妙とはこのことです。



いつもの変態的始まりとは一線を画し、少々インテリ気味に始まりました。お久しブリーフのび太です。


脳みその液状化現象ヨロシクといったユトリさんの場合「ヒョウリイッタイって何すか?クスリ?」とか言い出しかねないので説明しますとね。


まぁAVヨロシクといった感じで何事にも表があると裏も必ずあるんだけれども、それらは切っても切り離せないもの同士なんだよ。ということです。


例えば僕達が平穏に暮らしている今の生活が「表」だとしましょう。

そうすると、一歩裏通り、国籍不明で体臭も含めて危険な匂いがする人の


「オニサン、挟ンデ気持チヨクナルヨ。一時間ヨン枚。モミモミ。」


というジャパニーズブラックカルチャーを紹介する人たちを取り巻く日常が「裏」でしょうな。


こういう「表」と「裏」も、結局根幹の部分では持ちつ持たれつで繋がっているわけで。


昼間は「暴力団追放」とかいうハチマキ縛って街頭でワーワー言ってるおじさんも、夜は暴力団経営のSM倶楽部で女の子に縛られてヒーヒー言ってるかもしれない。

まぁそんな話はざらにあるわけで。


なんというか、完全に「表」だけ!とか「裏」だけ!で生活してる人っていうのはやっぱり少ないんですなぁ。


なんだかんだいって、身の回りのどこかに繋がりがあるものです。




先日の事でした。


僕はいつものように電車に乗って帰宅していたんですけどね。

ちょうど僕から3メートルくらい離れたところに立っていた男性と目があったんですよ。


白シャツにキラリと光る金ネックレスの輝きは完全に裏の世界の人。


基本的に表の世界のバンビみたいな僕ですから、こういう方は少々刺激が強すぎるので関わらないのがポリシーなわけでありまして。

ナチュラルに視線を窓の外に流して涼しい顔をしてました。




それで、窓ガラスに反射して写された社内の光景を見るとね。





見てるんですよ。




彼がじっとこっちを。

ホ、ホラーより恐ろしい。




僕をガン見する彼。

窓ガラスをガン見する僕。


交わることのない一方通行の恋愛とか全然程遠いけど、まぁそういうニュアンスに近いこの状況。

気の弱い小学生なら失禁してますよ。ホント。



ところが僕はといえばまぁ社会人ですからね。


エンドラインぎりぎりのところで失禁を堪えていました。



そしたらね。

そんな硬直状態が続くと思ったら、彼がこっちに近づいてくるじゃないですか。


しかも、何故かニヤニヤしながら。



社会人といえどコレにはちょっと漏れるよね。



いやいやいや、まぁ漏れるとか漏れないとかそういうのは今はおいておいてね。

どうしよう。


無事に家に帰りつけるのかしら。パンツ濡らしながら、今夜は涙で枕を濡らして泣き寝入りかしら。あぁ、神様。こんなことなら一本次の電車に乗ってればよか



彼「のび太じゃん!ひっさひぶりやのー!」



あ。知り合いでした。




この泣く子も黙りながら失禁しそうなスタイルの彼。

僕の小・中学生時代を共に過ごした友人の一人、タカギ君です。


タカギ「10年ぶりくらいじゃのー。」


目の前のチンピラはそう言いながら爽やかに笑っていました。



類は友を呼ぶ、なんていう言葉があるように。

僕の身の回りには変な人というか、変人オリンピックの日本代表級のプレイヤーが多くいました。


このタカギ君はその代表選手の中でもなかなかのキワモノでして。



まだ僕らがチン毛も生え揃っていない頃のことです。

クラスの隣の席だったYさんに向かって


タカギ「なぁなぁY。俺、お前がわき毛ボーボーなのしっちょるンで。皆にばらすぞ。」


とか、小学生にして脅迫まがいのことをしてましたからね。末恐ろしいとはこのことですよ。

ちなみにその情報をタカギ君に教えたのが僕でした。



かと思えば中学生の頃には。


タカギ「俺一日一箱くらい吸っちょるけーね。もう肺も真っ黒よ。」


とか言いながら、部室で煙草を吸ってたものでした。

ちなみに肺どころかチ○コも真っ黒でした。



高校進学で別々の道となってからは特に連絡することもなく、月日が流れていたんですけどね。

長い年月が経って、格好や風貌もすっかり大人に変わったというか。道を踏み外したまま全力でその道を突き進んだというか。

まぁそれでも昔の面影は残っていました。僕の目の前にいるのは、あの日のチ○コ真っ黒タカギ君です。



タカギ「今何やっちょん?(仕事何してんのって意味)」


僕「サラリーマンやっとるんよ。自分は何やっちょん?」


タカギ「俺はペンキ屋。」



ペンキ屋って。


ペンキ屋でシンナーばっかり吸っていないだろうか。ソレがありえるのがタカギクオリティ。恐ろしすぎます。

でもそんなタカギ君の口から飛び出たのは「うん。最近はシンナー吸うのが仕事だね。」とかっていう発言ではなく、予想をはるかに上回る驚きの一言でした。



タカギ「そういや、結婚したんよ。俺。」


僕「ケッコン!?」


タカギ「子供もおる。」


僕「コドモ!?」



ガッデム!!


シンナーどころかパイオツ吸いながら子供作ってるとは!!完全に先を越された!!



しかしタカギ君が人の親になるなんて話は、当時の僕達からしたらノストラダムスの予言の方がまだ信憑性がありましたよ。


世界が破滅するか、タカギ君が子供育てるかとかそういったスケール。

それくらい信じられないってことです。



まぁそれでもなんだかんだで上手いことやっているようで。

やたらと子供のことを自慢してました。やっぱり可愛いらしいですね。


子供のことを楽しそうに話すタカギ君は、僕の知らないタカギ君でした。


これがタカギ君が家庭で見せる「表」の顔なんだろうなぁ。




冒頭でも言ったとおり、何にでも表と裏はある訳でね。


それは僕達の身の回りの社会だってそうだし。

もちろん一個人をとったって、そうでしょう。


でも、確かに表と裏の区別はあってもね。

紙だってひっくり返せば裏は表になるんですなぁ。


まぁつまり、どっちがいいとかそういう話じゃなくて、表だろうが裏だろうが根本的な部分では大差ないんですよね。


昔こそ裏街道バリバリ全力疾走だったタカギ君も、今ではスッカリ表のパパの顔です。

なんだか先は越されて悔しい思いをしたものの、少々心が温まる再開でした。



タカギ君、いいお父さんになってください。




僕「ところで、そんないいカッコしてどこにいくん?まさか仕事帰りじゃないじゃろ。」


タカギ「ちょっと若いおねぇちゃんと酒飲んでくる。一緒に行く?」



そう言いながら白い歯(前歯は全部差し歯)を覗かせて笑うタカギ君は、僕が昔から知ってるタカギ君でした。




タカギ君、裏の生活もほどほどにね。