イケメンと非イケメンの境界線 | なごちゅう。

イケメンと非イケメンの境界線

薄暗いバーカウンター。

佇むは一人の男。


「ブラックニッカ、ロックで。」


「お待たせしました。」


タンブラーにそっと置かれたロックグラス。バーテンの後ろで揺れる明かりが、グラスに映り込む。


「ありがとう。」






イケメンと非イケメンの境界線というのは定義が難しい。

しかし、定義こそ難しいものの、皆それとなく感じるものなのであります。


例えば先の例。



イケメンならきっと、すっとグラスをあげるとカランと悲しい音が周りの女性の子宮を刺激するでしょう。


振り返ればカウンターで一人のいい男。


悲しげなHITOMIにズキュン。チェックメイト。




でもきっとコレが非イケメンならきっと、


すっとグラスをあげるとタンブラーがグラスの底にペットリ。



「あれ、ひっついてきちゃった。」



とか言う独り言は、哀しく店内の雑音に消え行きます。






そう、こんな風にイケメンと非イケメンとは境界線こそぼんやりとしていても、いわばタンブラー一枚のような何気ないもので、哀しくもしっかりと隔てられているのです。






まぁ僕が境界線のどちら側に位置しているかは置いておいてですね。


今日はこの境界線のあちら側にいる僕の知人ISSYくんを紹介したい。




このISSYくん、語学が堪能で、しかも前の彼女が自分のバンドの追っかけだったというエピソードをもつバンドマンというなかなかのスペック。



「この冬出張したときさー、吹雪と黄砂で日本帰って来れなくて焦ったよーハハハッ」



というなんだか全然困ってなさそうなその状況。

いやはや、スマートなビジネスマンとでも言いましょうか。

出張先で現地の人と商談でも進めてきたんでしょう。



「でも吹雪と黄砂って出張ってそれどこよ。」



「ん?モンゴル。」





モンゴル。


あれ、今なんだか境界線が少しちらついたような。



「仕事はうまくいったの?」



「あぁ、テントで、現地のモンゴリアンと酒ばっか飲んでたわ。」





あれれ、またなんだか境界線がちらついたような。




まぁとにかく、境界線のあちら側とだけ言っておきましょう。


それで、先日、このISSYくんが次の週からしばらくイタリアに出張に行くということで、久しぶりあってみると、

あいしなに「ハイ」と笑顔と共に渡される一枚のCD。


ほう。どんな企画の裏AVなのかと期待して、「これナニ?」とワクワク聞くと



「僕が作ったCD」



と一言。FUCK。そんなんどうでもえぇねん、裏を出さんかい裏を。モザイクとったらんかい。


とは言えずに、熱く握手。笑顔で頑張って。




「CD、日本帰ってきたら感想きかせてよ。」



「OK。すぐ聞くわ。」




そしてISSYをつんだ飛行機が無事にイタリアに旅立って、二週間、家帰ってカバンの掃除をしてたのが今日のこと。

ゴソっと底から出てきた一枚のCD。




あぁ、ゴメンISSY。完全に忘れてた。




それで、ひとしきり掃除とか、洗濯とか、ネットとか、ご飯食べて、さぁすることなくなったなぁというタイミングで、まぁ聞いてみようかなとドライブへセット。


だいぶ優先度低いのは気のせいで、今日は忙しかったんです。






うぃぃぃんという、なんだか怪しい音ともに開くは、怪しい曲名の曲たち。


そしてさらにシビれるのは





「時空の流れぬ夜 カラオケ」





か、カラオケバージョン付き。



誰が歌うねん。




まぁまぁ、曲名と中身は完全に一対一で対応しませんから。


きっと心に響くに違いない、案外意外さを感じるに違いない。


と思って聞いてみる。






ふむ。






まぁ、ね。

いいじゃん。

そんな感想とか野暮なこと。


というか、追っかけの元彼女の音楽センスを少々心配せざるを得ない。ということを感想に変えます。





海外出張、バンドに自作CD。


響きはどれも痺れるのに。



それがカッコイイかどうかって、難しいですよね。





また一週間始まりますね。


見苦しくても、泥臭くまた一週間必死こいて働きますか。パンピーの僕にはそういうのが似合ってるわ。YES。



それではまた。さよなライオン。